
建設業界では、人手不足や資材コストの高騰など、多くの課題が山積する中で「工期をいかに短縮するか」というテーマがこれまで以上に重視されています。
特に中小規模の施工会社は、限られたリソースで複数のプロジェクトを抱えていることも珍しくありません。
そんな状況において、現場全体の進捗を“見える化”し、効率良く作業を進めるためのツールとして注目を集めているのが「ガントチャート」です。
本記事では、「ガントチャートを活用して工期短縮を実現するためのポイント」を、できるだけわかりやすく解説していきます。
従来のエクセル管理や紙ベースの工程表では把握しきれなかった問題点や、
現場内外のコミュニケーションロスをどう解決するのか、具体的な方法や導入時のステップについても詳しくご紹介します。
ガントチャートは「名前は聞いたことがあるけれど、実際には使ったことがない」「興味はあるがどうやって施工管理に活かせばいいのかわからない」といった方にも役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお読みいただき、工期短縮のヒントを見つけてみてください。
1.ガントチャートとは何か?
まずはガントチャートの基礎から押さえておきましょう。
ガントチャート(Gantt Chart)とは、1910年代にヘンリー・ガント氏が考案した工程管理の手法を視覚化したツールで、横軸に時間、縦軸に作業項目(タスク)を並べ、タスクの開始日・終了日や進捗状況などを棒グラフの形で表現するものです。
たとえば、建設プロジェクトであれば、「基礎工事」「躯体工事」「内装仕上げ」「外装仕上げ」「最終検査」などのタスクを順番に並べ、それぞれの予定期間を棒状に示します。こうすることで、「どのタスクがいつ始まり、いつ完了するのか」「他のタスクとの重複や依存関係はどうなっているのか」を一目で把握できるわけです。
ガントチャートはIT・製造業をはじめ、さまざまなプロジェクト管理の現場で用いられていますが、工期と工程管理が重要視される建設業界とも非常に相性が良く、近年は施工管理アプリなどでクラウド上にガントチャートを実装し、複数メンバーで共有する事例も増えています。
2.ガントチャートがもたらす施工管理上のメリット
ガントチャートは、単に「工程表を見やすくするためのツール」というだけではありません。
うまく活用すれば、工期短縮や施工品質向上など、多くのメリットをもたらします。ここでは主なメリットをいくつかご紹介しましょう。
2-1.工程全体を俯瞰できる
ガントチャートを用いる最大のメリットは、プロジェクト全体を俯瞰(ふかん)できる点です。
各タスクがどの時期にどの程度の期間を要するのか、どのタスクが並行して進行しているのか、あるいはどのタスクがどのタスクに依存しているのかが、一枚の図で整理されます。
これにより、工程に無駄や重複がないかを検討しやすくなり、前倒しで進められる部分や作業の順番を入れ替える余地が見つかりやすくなります。
2-2.進捗状況を「見える化」しやすい
複数のタスクが同時並行で進む現場では、「今、どの作業がどれくらい進んでいるのか」「予定からどれくらい遅れているのか」を把握しきれなくなることが少なくありません。ガントチャートでは、タスクの進捗度合いをバーの長さや色などで視覚的に表現できます。
そのため、「工期全体の中で、どこにボトルネック(作業の遅れや停滞)があるのか」を素早く発見し、対策を打てるのです。
「進捗を“見える化”する」という観点からも非常に有効なツールと言えます。
2-3.作業間の依存関係を管理しやすい
建設プロジェクトでは、「基礎が終わらないと躯体工事を始められない」「電気配線が終わらないと内装ができない」など、タスク間にさまざまな依存関係があります。ガントチャートでは、この依存関係も矢印などで明確に示すことが可能です。
依存関係を明確にすることで、どの工程が遅延するとどこに影響が及ぶのかを簡単に把握できます。
結果として、現場担当者や職人同士のコミュニケーションがスムーズになり、タスクの前倒し・平行作業の検討もしやすくなるでしょう。
2-4.担当者の負荷を調整しやすい
ガントチャートを導入すると、担当者ごとの作業量やスケジュールの重複状況が可視化されます。
特定のメンバーに負荷が集中していないか、あるいは逆に手が空いているメンバーはいないかをチェックして、余裕のあるメンバーをサポート役として配置するなど、リソースの有効活用ができるようになります。
これは現場のモチベーション維持や、過剰な残業の削減にも直結します。人手不足が深刻な建設業界において、作業者に無理をさせず、適材適所で仕事を回すための指標としても大いに役立つでしょう。
2-5.意思決定や工程変更が素早くなる
ガントチャートでプロジェクト全体を把握できるようになると、経営層や管理者が工程の遅延リスクやリソース状況を正確に捉えやすくなります。
その結果、急な変更やトラブルが発生した場合も、「どこを先に動かせばいいのか」「予算や人員をどこに集中させるか」など、迅速な意思決定が可能になります。
このように、ガントチャートを導入することで、工期短縮や無駄の削減、チームコミュニケーションの円滑化といった多方面の改善が見込めます。
特に、工事工程を複数のチームや職人が並行して進める現場では、その効果が顕著に表れるでしょう。
3.工期短縮に直結するガントチャートの具体的活用術
続いて、「ガントチャートはわかったけれど、実際にどのように活用すれば工期短縮につながるのか」を、もう少し踏み込んで解説していきます。
ここでは、ガントチャートを活かして工期を短くするための代表的な手法やコツを見ていきましょう。
3-1.余裕のあるスケジュールをベースにする
第一に、工期短縮を目的として「最初からギリギリの工程表を組む」のは危険です。
なぜなら、建設現場では天候不順や資材の納期遅れ、職人の体調不良など予測不能な要素が多いからです。
最初から余裕のないスケジュールを組むと、トラブルが一度起きただけで連鎖的に遅延が発生し、取り戻すのが難しくなります。
むしろ、ある程度のバッファ(余裕時間)を設けた上でガントチャートを作成し、それを「いかに前倒しで進められるか」を常に考える運用スタイルが望ましいでしょう。
前倒しやタスクの並行作業が可能になった時点で、ガントチャート上のバーを更新していくことで、最終的な工期短縮を実現していきます。
3-2.クリティカルパスを意識する
工期を決める上で重要なのが「クリティカルパス」という考え方です。
これは、プロジェクトを完了するために必要となるタスクの中でも、「最も長い時間を要する一連のタスクの流れ」を指します。
クリティカルパス上のタスクがどれか一つでも遅れると、プロジェクト全体の完了も遅れてしまうという、極めて重要なタスク群です。
ガントチャートでは、タスク間の依存関係を可視化することで、このクリティカルパスがどこにあるのかがわかりやすくなります。
つまり、「ここさえ遅れなければ工期は守れる」というラインが見えるわけです。工期短縮のためには、まずはクリティカルパス上のタスクの前倒しや効率化を最優先で検討すると効果的です。
3-3.並行作業(パラレル化)の可能性を探る
工期短縮を実現するもう一つの鍵は、「できる限りタスクを並行して進める」ことです。
例えば、「電気工事と内装工事は、ある程度まで進めれば並行作業が可能なのではないか」「足場の撤去と資材の搬入を同じタイミングで行えないか」といった発想です。
ガントチャートを使えば、どのタスクが他のタスクに依存し、どのタスクが並行可能かを視覚的に判断できます。
並行できるタスクを見つけたら、スケジュールを修正して前倒しや同時進行を図りましょう。こうした小さな積み重ねが、最終的な工期短縮につながります。
3-4.中間マイルストーンの設定で進捗を管理する
ガントチャートでは、タスクの開始日と完了日だけでなく、途中の重要なイベントや区切り(マイルストーン)を設定することができます。
工事区画ごとの竣工検査や特定の設備が完成する時点などをマイルストーンとして設定し、達成時期を明確にしましょう。
中間マイルストーンをきちんと管理しておくと、全体工期の中で「遅れが出ている部分」を早期に検知できます。
問題が大きくなる前に対処すれば、最終的な工期の遅延を回避しやすくなるのです。
3-5.定期的なレビューと更新を徹底する
ガントチャートを作成しても、それを放置してしまっては意味がありません。現場の進捗は日々変化しますし、予期せぬトラブルも起こります。
そこで大切なのが、定期的なレビュー(進捗確認)と更新作業です。
たとえば、週に1回や月に2回など、定期ミーティングを設けて「ガントチャート通りに進んでいるか」を確認し、問題があればタスクの順番や担当者を再調整します。こまめな見直しが行われることで、計画と現場の実情との乖離を最小限に抑え、結果的に工期を短縮しやすくなります。
以上のように、ガントチャートを使って工期短縮を図るには、ただ作成するだけでなく、作業間の依存関係や並行作業の可能性、定期的な見直しなどを組み合わせて運用することが欠かせません。こうしたポイントを意識するかどうかで、ガントチャートの効果は大きく変わってきます。
4.ガントチャートを活用した施工管理の進め方
ここでは、ガントチャートを日常的に活用しながら施工管理を進めるための基本的なフローを整理してみましょう。実際の工事現場や社内ルールに合わせてアレンジしながら取り入れてみてください。
4-1.プロジェクト全体のタスク洗い出し
まずは、プロジェクト全体の作業項目(タスク)を細かく洗い出します。工種ごとに分類しても良いですし、工程順に上から並べても構いません。重要なのは「後になってやるべき作業が漏れていた」ということがないよう、できるだけ詳細に作業リストを作成することです。
この段階で職人や外部協力会社などから意見をもらい、抜け漏れを防ぎましょう。タスクが網羅されていないと、後からスケジュールを組み直す手間が増え、工期短縮どころか混乱を招く原因になります。
4-2.各タスクの所要期間・担当者を設定
洗い出したタスクごとに、作業に必要な期間を見積もります。過去の実績データや職人の経験則を参考にしながら、なるべく現実的な日数を設定しましょう。このとき、先述のとおりバッファを少し含めておくのがポイントです。
また、各タスクを誰が担当するのか(あるいはどの職種・業者が担当するのか)も明確にします。担当者が曖昧だとタスクが宙に浮いてしまい、工程が進まない原因になります。
4-3.タスク間の依存関係を明示
基礎工事が終わらないと躯体工事が始められない、といった工程同士の依存関係をガントチャート上に設定します。矢印を使うなどして、「このタスクが完了しないと次のタスクに進めない」という関係を可視化するわけです。
また、逆に「並行作業が可能なタスク」も見極めておきましょう。ここを意識することで、前倒し作業や短縮ができるタスクが見つかる可能性があります。
4-4.ガントチャートを共有し、進捗管理を開始
ガントチャートの基本形ができたら、紙やエクセルだけで管理するのではなく、できればクラウド型の施工管理ツールで共有することをおすすめします。全員が常に最新の工程表を確認できるため、情報の齟齬(そご)が減り、メールや電話で確認する手間も大きく削減できます。
この段階から、週次や月次の定期ミーティングを設定し、進捗が計画通りに進んでいるか、予想外の遅延が起きていないかをガントチャートを見ながら確認するとスムーズです。問題が見つかった場合は、その都度チャートを修正・更新し、関係者全員に周知します。
4-5.実績データを蓄積して次の工事に活かす
プロジェクトが完了したら、ガントチャートの計画と実際の進捗を照らし合わせ、「どのタスクで遅れやすかったか」「どの工程で見積もりを誤りやすかったか」などを分析します。これを次の工事に役立てれば、さらに精度の高い工程管理が可能になります。
特に、似たような規模・工法の工事を継続的に受注している施工会社であれば、過去のガントチャートの実績データをテンプレート化し、工期短縮のノウハウを全社的に蓄積・共有していくとよいでしょう。
上記のフローを回す中で、現場から「この部分はもっと効率的な進め方がある」「実際にはこの工程に2~3日の余裕が欲しい」など、貴重な意見やノウハウが集まってきます。そうした声を反映してガントチャートと運用ルールをブラッシュアップしていくと、より短い工期で高品質な施工を実現できるはずです。
5.ガントチャート導入前に押さえておきたい注意点
ガントチャートは非常に便利なツールですが、導入にあたってはいくつかの注意点もあります。これらを事前に理解しておくことで、導入後のトラブルや混乱を回避しやすくなるでしょう。
5-1.細分化しすぎると管理が煩雑になる
ガントチャートを活用する際、タスクを細かく分解しすぎると、かえって管理が大変になるケースもあります。あまりにも細かい作業単位まで設定すると、進捗入力や調整作業に多くの時間を取られてしまい、かえって本末転倒になりかねません。
「どこまで細分化するか」は、現場の規模や慣習にもよりますが、最低限の管理単位でまとめておく方が現場で扱いやすいことが多いです。慣れてきたら適宜細かくしていく、という段階的なアプローチを取るのも良いでしょう。
5-2.現場スタッフへの教育・周知が不可欠
ガントチャートを導入するには、現場スタッフや職人、協力業者など、多くの人が利用する可能性があります。誰もが使いやすいツールであることはもちろん、新しいツール導入に抵抗を感じる人もいるかもしれません。
そのため、導入時に研修や説明会を開いたり、操作マニュアルを整備したりして、利用者が迷わず活用できる環境を用意しておくことが大切です。「導入したけれど誰も使ってくれない」という状況に陥らないためには、ITリテラシーのばらつきを考慮した丁寧な導入支援が必要です。
5-3.ツール選定で求める機能を明確にする
ガントチャートが使える施工管理ツールやプロジェクト管理ソフトは数多く存在しますが、それぞれ機能や使い勝手が異なります。たとえば、
- スマホ・タブレットでも見やすいガントチャートか
- 写真や図面などのドキュメント管理機能が充実しているか
- 多現場を一括管理できるダッシュボードがあるか
- 自社の他システムや会計ソフトとの連携が可能か
こうした点を比較検討した上で、最適なツールを選ばないと、導入後に「思ったより使いにくい」「必要な機能が足りない」などの不満が出てきます。予算や導入サポート体制なども含め、総合的に判断しましょう。
5-4.運用ルールを設定しておく
ガントチャートは「誰が更新するのか」「進捗率はどのタイミングで入力するのか」「タスクの開始日や終了日はどのような手順で確定させるのか」など、運用ルールを決めておかないと管理が曖昧になります。結果として、最新情報が反映されず形骸化する恐れがあります。
たとえば、「毎朝8時までに前日の進捗を入力する」「作業が完了したタイミングで担当者がステータスを更新する」といった具体的なルールを定めましょう。これにより、ガントチャートの信頼性が保たれ、プロジェクト全体の見える化が実効性を伴うようになります。
こうした注意点に気をつければ、ガントチャートの導入・運用をよりスムーズに進められます。特に、ITツールに慣れていない現場ほど、しっかりとした導入計画とフォロー体制が不可欠です。
6.クラウド型施工管理アプリとの相性
近年は「ガントチャート+クラウド化」による施工管理が注目を集めています。特に、多現場を同時に抱える中小施工会社にとっては、クラウドでのデータ共有は大きなメリットがあります。
6-1.リアルタイム同期で全員が最新の工程を把握
クラウド上のガントチャートなら、誰かが更新した情報が即時に全体へ反映されます。エクセルファイルをメールでやりとりする場合と比較すると、圧倒的にスピーディです。いつ、誰が、どこを更新したのか履歴管理もできるため、トラブル時の原因究明もスムーズです。
6-2.現場でのモバイル活用
スマートフォンやタブレット対応の施工管理アプリであれば、現場で写真やメモをその場で登録し、ガントチャート上のタスクに紐づけることも可能です。現場監督や職人がオフィスに戻ってPCを開く手間がないため、リアルタイムな情報更新が実現し、工期短縮につながる行動がとりやすくなります。
6-3.多機能な連携で効率化を加速
ガントチャート以外にも、写真管理やドキュメント共有、チャット機能などがひとつに統合されたアプリを使えば、複数のツールを切り替える必要がありません。これは情報の分散を防ぎ、コミュニケーションをシンプルにする上で重要です。
さらに、API連携や外部サービスとの接続が可能なツールなら、会計ソフトや原価管理システムなどとデータをスムーズに受け渡せます。これにより二重入力の手間が減り、プロジェクト全体の作業効率がさらに向上します。
このように、ガントチャートをより効果的に使うには、クラウド化された施工管理アプリの導入が有力な選択肢となります。特に、「情報共有」「コミュニケーション」「セキュリティ」の観点でメリットが大きい点を意識しておきましょう。
7.実際の活用事例:ガントチャートで工期を短縮したケース
ここからは、ガントチャートを導入して工期短縮を実現した、いくつかの実例を簡単にご紹介します。具体的な事例をイメージすることで、自社での活用シーンや導入メリットがよりクリアになるはずです。
7-1.リフォーム会社A社:複数現場の同時管理で10%の工期短縮
A社はリフォーム事業を手掛ける中小企業で、常時3~5件の現場を同時に進めています。以前はエクセルの工程表をメールでやりとりしていましたが、情報が錯綜してすぐに最新状況を把握できない問題を抱えていました。
そこで、クラウド型施工管理アプリを導入し、ガントチャートを現場監督だけでなく協力業者にも公開。週1回の定例会でガントチャートを確認し、前倒しできそうなタスクを積極的に並行化した結果、平均工期が10%ほど短縮できたとのことです。
さらに、現場で起こった変更事項もすぐにガントチャートに反映されるため、建材の発注タイミングや人員配置の再調整が早めに行えるようになった点が工期短縮の大きな要因になったそうです。
7-2.ゼネコン下請けB社:クリティカルパス管理で遅延を大幅減
B社は地方のゼネコンからの受注が多く、一つひとつの工事規模が大きい代わりにリードタイム(調達期間や設計期間)が長いのが特徴でした。以前は工期がしばしば遅延し、発注元から厳しい指摘を受けることが多かったそうです。
そこで、クリティカルパスを意識したガントチャート管理を導入し、重要なタスクの遅れを早期発見できる仕組みを整備。1週間ごとにガントチャートを見ながら「どのタスクが遅れそうか」「今のうちに変更できる部分はないか」を確認し、対策を講じるようにしました。
結果として、大幅な工期遅延が起きるケースが激減し、発注元との関係も改善したとのことです。B社の担当者は「見えない部分を可視化するだけで、これほど問題対応が早くなるとは思わなかった」と語っています。
7-3.内装仕上げC社:人員の配置ミスマッチを解消し残業削減
C社は内装仕上げ工事を専門に行う小規模な会社です。限られた職人で複数物件を同時施工するため、人員の配置計画が難しく、職人によっては過度な残業が発生することが課題でした。
そこで、ガントチャートを導入して各職人の稼働状況を一括管理し、前もって負荷が集中しそうな週を把握できるようにしました。そして、余裕のある職人を他現場からサポートに呼び込むなど、柔軟な配置転換が可能になったとのことです。結果的に、現場全体の残業時間が大幅に減り、人件費や職人の疲労リスクも低減できたそうです。
以上の事例からも、ガントチャートを活用することで工期短縮だけでなく、コミュニケーション改善や残業削減、人材配置の最適化など、施工管理のあらゆる面でメリットが得られることがおわかりいただけると思います。
8.ガントチャートを活用した工期短縮のためのチェックリスト
ここまでの内容を踏まえ、ガントチャートを効果的に運用しながら工期短縮を目指す際に役立つチェックリストをまとめました。実際の現場やプロジェクトで取り入れる際の参考にしてみてください。
- 【タスクの網羅性】
すべての作業項目が正確にリストアップされているか。専門外や外部委託部分のタスクも含め漏れがないか。 - 【バッファ設定】
予期せぬトラブルへの対応時間を織り込んでいるか。工期短縮を意識しすぎてギリギリのスケジュールになっていないか。 - 【クリティカルパス管理】
プロジェクト全体の工期を左右するクリティカルパス上のタスクを特定し、優先的に対策を講じているか。 - 【並行作業(パラレル化)の検討】
依存関係を見直し、同時進行できるタスクを積極的に探しているか。前倒しできる工程がないかを定期的にチェックしているか。 - 【定期的なレビュー・更新】
ミーティングや進捗確認の場を設け、ガントチャートを都度最新化しているか。問題が起きたら素早くチャートを修正して共有しているか。 - 【現場スタッフの使いやすさ】
操作に複雑な手順が不要か。スマホやタブレットでも更新しやすいツールを選定しているか。初期研修やマニュアルが充実しているか。 - 【運用ルールの明確化】
いつ、誰が、どのようにガントチャートを更新するかを明示しているか。更新のフローが社内外で統一されているか。 - 【クラウド活用の有無】
可能な範囲でクラウド型アプリの導入を検討し、情報の一元管理・リアルタイム共有を実現しているか。 - 【導入後の評価・改善サイクル】
プロジェクト終了後にガントチャートの計画と実績を比較し、次回以降の精度向上につなげる取り組みを行っているか。
これらの項目を意識しながらガントチャートを導入・運用していけば、工期短縮だけでなく、施工現場全体の管理品質を高めることができます。特に、不慣れなうちは定期レビューを通じて「どこがうまくいっていないのか」「どうすればもっと前倒しできるのか」を探る姿勢が大切です。
9.まとめ:ガントチャートで施工管理を見える化し、工期短縮を実現しよう
工期短縮は、施工会社にとって大きな競争力となります。限られたリソースや予算の中で、いかに効率よくプロジェクトを進め、納期通り(あるいは予定より早く)完了させるかは、今後ますます重要な課題となっていくでしょう。
そこで、ガントチャートを活用した施工管理は、有効な解決策の一つです。ガントチャートによって工程を視覚的に把握し、タスク間の依存関係や並行作業の可能性を見極めることで、無駄や重複を取り除き、トラブルにも素早く対処できる体制を築けます。その結果、工期短縮だけでなく、コミュニケーションのスムーズ化、残業削減、利益率の向上など、さまざまなメリットが期待できます。
特に、クラウド型の施工管理アプリと組み合わせることで、ガントチャートのメリットはさらに強化されます。リアルタイム共有やモバイル対応、ドキュメント管理やチャット機能との連携など、多様な機能をワンストップで使えるため、現場の生産性が飛躍的に向上するでしょう。
ぜひ本記事でご紹介したポイントや事例を参考に、自社の現場でガントチャートを導入・活用してみてください。「最初から無理なく始める」「定期的にレビュー・更新をする」「現場の声を取り入れやすい仕組みを作る」など、着実な一歩が工期短縮への大きな成果へとつながります。
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